フリーランスの報酬未払い|契約書なしでも回収する手順と相談先

目次

納品したのに報酬が振り込まれない、という状況は、フリーランスなら誰にでも起こりえます。

相手が悪質なケースもあれば、担当者の処理漏れや、資金繰りの都合というだけのこともあります。

大事なのは、感情的に動く前に、打てる手を軽いものから順番に踏んでいくことです。

契約書を交わしていない口約束の仕事でも、報酬や業務内容の合意と、仕事をした事実を示せれば、報酬を請求できる可能性があります。

この記事では、未払いに気づいたときに確認することから、内容証明・支払督促・少額訴訟までの回収手順、時効、無料で相談できる窓口までを順に整理します。

なお、この記事は2026年10月時点の法令・制度をもとにしています。

報酬未払いが起きたら、まず確認すること

未払いに気づいたら、督促のメールを送る前に、いくつかの事実を確認しておきます。

ここを飛ばすと、こちらの勘違いで相手を責めてしまったり、反論の余地を残したりしかねません。

支払期日が本当に過ぎているか

最初に見るのは、支払期日が本当に過ぎているかどうかです。

契約や発注のときに合意した支払日を確認しましょう。

請求書に入金期限を書いた場合は、その期限について相手と合意しているかも確かめます。

「月末締め翌月末払い」のように、思っていたより入金が先というだけのこともあります。

支払日を決めていなかった場合でも、発注側が従業員を雇っている事業者などで、フリーランス新法の支払期日のルールが適用される取引なら、成果物を受け取った日(作業などの役務なら提供を受けた日)が支払期日とみなされます。

請求書と検収が済んでいるか

請求書を送り忘れていたり、宛先や振込先の口座が間違っていたりして、相手が処理できていないこともあります。

ただし、新法の支払期日のルールが適用される取引では、請求書がまだ届いていなくても、発注側には決めた支払期日までに支払う義務があります。

契約で「検収(納品物の確認)が終わってから請求する」と決めている場合は、検収が終わったという連絡を受けているかも確かめます。

同じく新法の支払期日のルールが適用される取引では、支払期日は原則として、検収が終わった日ではなく、成果物を受け取った日(役務なら提供を受けた日)から数えます。

ただし、プログラムなどの成果物で、一定の水準を満たすか確かめた時点を受け取った日とすることを前もって合意している場合などは例外です。

金額や業務内容に食い違いがないか

次に、これまでのやりとりを見返して、金額や業務内容にズレがないかを確かめます。

追加で頼まれた作業の料金を決めていなかった、途中で仕様が変わった、といった点は、相手が支払いを渋る理由になりがちです。

相手が「その金額で合意した覚えはない」と言ってくる余地がないか、先に押さえておきましょう。

相手は処理漏れ・資金難・音信不通のどれに近いか

相手の状況を想像しておくと、その後の伝え方を選びやすくなります。

担当者の処理漏れなら確認の連絡だけで済み、資金繰りが厳しいなら分割払いの相談が現実的なこともあります。

連絡が取れなくなっている場合は、記録の残る形で早めに請求を進めたほうがよいでしょう。

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ここがポイント

  • 契約や発注のときに合意した支払期日が、本当に過ぎているか(請求書の入金期限なら、相手と合意しているか)
  • 請求書の宛先・振込先や、検収の連絡に漏れがないか
  • 合意した金額・業務内容とのあいだにズレがないか
  • 相手は処理漏れ・資金難・音信不通のどれに近いか

契約書がない・口約束でも報酬は請求できる

「契約書を交わしていないから、請求してもムダかもしれない」と考えて、あきらめてしまう人がいます。

しかし、報酬を請求できるかどうかは、契約書があるかどうかだけで決まるわけではありません。

口約束でも契約は成立する

仕事を頼み、それを引き受けるという合意があれば、口約束であっても契約は成立します。

契約書は、その合意の内容を後から証明しやすくするためのもので、契約が成り立つための条件ではありません。

報酬を請求するには、報酬の額や業務内容について合意したことと、実際に仕事をしたことを示せる必要があります。

特に準委任の契約は、報酬を払うという合意がなければ報酬を請求できない決まりなので、金額を決めたやりとりは大切な証拠になります。

証拠になるもの

次のようなものは、いずれも合意や仕事の事実を示す材料になります。

  • 依頼の内容・金額・納期が書かれたメールやチャット
  • 見積書や、発注のメッセージ
  • 納品したデータと、納品を知らせたメール
  • 送った請求書と、その後の督促のやりとり
  • 作業の記録(稼働時間の記録、コミット履歴、打ち合わせのメモなど)

チャットツールは、相手のワークスペースから外されると、過去のやりとりを見られなくなることがあります。

未払いの気配を感じたら、画面の保存や書き出しで、手元にも記録を残しておきましょう。

条件を書面で示す義務は発注側にある

フリーランス新法では、発注側は仕事を頼むときに、業務の内容・報酬の額・支払期日などを、書面かメールなどで示す義務があります。

この義務は、従業員を雇っていない個人の発注者も含めて、フリーランスに仕事を頼むすべての発注者にかかります。

つまり、条件が書面で残っていないのは、あなたの落ち度というより、相手が義務を果たしていない可能性があるということです。

新法の義務や対象になる取引の範囲は、フリーランス新法とは|7つの義務・禁止行為・罰則をわかりやすく解説でくわしく解説しています。

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ここがポイント

  • 口約束でも、仕事を頼んで引き受けた合意があれば契約は成立する
  • メール・チャット・見積書・納品データ・請求書・作業の記録が証拠になる
  • チャットは相手側の操作で見られなくなることがあるので、手元にも保存する
  • 取引条件を書面やメールで示すのは、発注側の義務

報酬を取り戻す5つのステップ

状況が整理できたら、負担の軽い方法から順に試していきます。

いきなり法的な手続きに進むより、段階を踏んだほうが、関係を壊さずに解決できることが多いからです。

ここでは、督促から裁判所を使う手続きまでを、5つのステップに分けて説明します。

ステップ①:まずはやわらかく督促する

最初は、行き違いの可能性も考えて、やわらかく連絡します。

「〇月〇日にお送りした請求書について、入金の確認ができていないため、ご確認いただけますでしょうか」くらいのトーンで十分です。

この段階で入金されれば、単なる処理漏れだったということで、関係も傷つきません。

ステップ②:期日と金額を明記した督促を送る

反応がなかったり、支払いを先延ばしにされたりする場合は、記録としてはっきり残る形で督促します。

メールで構わないので、未払いになっている金額、対象の業務、いつまでに支払ってほしいかを具体的に書きます。

後から「言った・言わない」の争いにならないよう、電話で話した場合も、内容をメールで送り直しておきましょう。

ステップ③:内容証明郵便で正式に請求する

それでも支払われないときは、内容証明郵便を使います。

内容証明郵便は、いつ・誰が・どんな内容の文書を送ったかを、郵便局が証明してくれる仕組みです。

配達証明をつければ、相手に届いた日も証明できます。

相手にこちらの本気度が伝わり、これをきっかけに支払われることも少なくありません。

内容証明が相手に届くと、時効の完成を6か月先に延ばす効果もあります(くわしくは後の「時効と遅延損害金」で説明します)。

書き方に不安があれば、送る前に、あとで紹介する無料の相談窓口に相談しておくと安心です。

ステップ④:相談窓口の和解あっせんを使う

当事者同士では話が進まないときは、第三者に間に入ってもらう方法があります。

フリーランス・トラブル110番には、経験を積んだ弁護士が当事者の話し合いを仲立ちし、必要に応じて解決案を示す「和解あっせん」という手続きがあり、費用は無料です。

解決案に従う義務はなく、裁判の判決のような強制力もありません。

申立ては書類を郵送して行い、弁護士会の仲裁センターが相手に出席を呼びかけます。

話し合いの場(期日)は1回2時間程度で、複数回開かれることもあり、Web会議でも参加できます。

裁判と比べて申立てが簡単で、解決までの期間も短いとされています。

一方で、話し合いの手続きなので、相手が出席しなかったり、合意できなかったりすれば、解決にはつながりません。

その場合は、次の支払督促や少額訴訟など、別の方法に進みます。

ステップ⑤:支払督促・少額訴訟で法的に請求する

話し合いでも解決しないときの最後の手段が、裁判所を通じた手続きです。

代表的なものに「支払督促」と「少額訴訟」があり、どちらも弁護士に頼まず自分で申し立てられます。

支払督促は、書類の審査だけで、簡易裁判所から相手に支払いを命じてもらう手続きです。

相手が受け取ってから2週間以内に異議を出さなければ、そこから30日以内に「仮執行宣言」を申し立てます(申し立てないと支払督促は効力を失います)。

仮執行宣言のついた支払督促が相手に届くと、相手の財産の差押え(強制執行)を申し立てられるようになります。

ただし、相手はそれが届いてから2週間以内なら、まだ異議を出せます。

相手が異議を出すと、通常の裁判に移ります。

少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求めるときに使える、原則1回の審理で判決まで進む裁判です。

証拠は審理の日にその場で調べられるものに限られ、同じ簡易裁判所で使えるのは1人につき年10回までです。

相手が求めれば、通常の裁判に移ることもあります。

どちらも原則として相手の住所地の簡易裁判所に申し立てるので、相手が遠方にいる場合は手間も考えておきましょう。

金額が大きい場合や相手が本格的に争ってくる場合は、弁護士への相談も検討しましょう。

手段費用・手間向いている場面
メールでの督促負担はほぼなし処理漏れ・うっかりが疑われるとき
内容証明郵便少額の郵送費と手間督促に反応がなく、本気度を示したいとき
和解あっせん無料(相手が応じることが前提)当事者だけでは話が進まないとき
支払督促書類審査のみ・裁判所に行かなくてよい相手が反論してこなさそうなとき
少額訴訟原則1回の審理・申立ての手間はかかる60万円以下で、はっきり決着をつけたいとき

どの手段を選ぶ場合も、共通して意識しておきたいのが時間の問題です。

時効と遅延損害金

報酬の請求には時効があり、放っておくと、相手が時効を主張(援用)したときに請求できなくなります。

逆に、支払いが遅れた分の上乗せを請求できることも、知っておくと交渉の材料になります。

報酬の請求権は原則5年で時効になる

2020年4月1日以降に結んだ契約の報酬は、請求できると知った時から5年、請求できる時から10年の、どちらか早いほうで時効になります。

支払期日が決まっている報酬なら、多くの場合は支払期日から5年と考えておけばよいでしょう。

それより前に結んだ契約には改正前の民法が適用され、時効の期間が違うことがあります。

内容証明で延びるのは6か月だけ

内容証明などで支払いを求め(催告し)、それが相手に届くと、時効の完成が6か月先に延びます。

ただし、その6か月のあいだにもう一度催告しても、さらに延びることはありません。

時効の完成を防ぐには、6か月以内に支払督促や訴訟などの裁判所の手続きに進むか、相手に支払う義務を認めてもらうことを考えましょう。

相手が「必ず払います」と認めたメールや、一部の入金があれば、時効はそこから数え直しになります。

遅延損害金も請求できる

支払期日を過ぎた報酬には、元の金額に加えて遅延損害金を請求できます。

契約で利率を決めていなければ法定利率が使われ、2026年4月から2029年3月までは年3%です。

取引が取適法(改正下請法)の対象になる場合は、発注側に、受け取った日から60日を過ぎた日から支払う日までについて、年14.6%の遅延利息を払う義務があります。

取適法の対象かどうかは、双方の資本金や従業員数の組み合わせと、頼まれた仕事の内容で決まります。

実際に上乗せを求めるかは相手との関係次第ですが、督促のときに請求できると知っておくだけでも、強気に交渉しやすくなります。

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ここに注意

  • 2020年4月以降の契約の報酬は、原則として支払期日から5年で時効になる
  • 内容証明などの催告で延びるのは6か月だけで、繰り返しても延びない
  • 6か月以内に裁判所の手続きに進むか、相手に支払義務を認めてもらう

エンジニアの業務委託で起きやすい未払い

システム開発やSESの業務委託では、未払いの起き方にも特徴があります。

契約の形ごとに、もめやすいポイントを押さえておきましょう。

エージェント経由の案件は、請求先がエージェントになる

エージェントを通した案件では、多くの場合、契約の相手は現場の企業ではなくエージェントです。

その場合、現場の企業からエージェントへの入金が遅れていても、あなたが報酬を請求する相手はエージェントです。

「クライアントから入金がないので待ってほしい」と言われても、基準になるのはエージェントとの契約や条件通知書に書かれた支払期日です。

なお、新法では、再委託であること、元の発注者の名称、元の発注者からの支払予定日をあなたに示した場合に限り、その支払予定日から30日以内に支払期日を決められる例外があります。

この場合も基準は契約で決まった支払予定日で、実際に入金があった日ではありません。

契約のときに、支払期日がどう書かれているかを確認しておきましょう。

準委任は稼働時間の精算でもめやすい

SESなど準委任の案件では、稼働時間に応じて報酬が増減する「精算幅」が決まっていることがよくあります。

稼働報告書の承認が遅れたり、稼働時間を少なく数えられたりして、請求額が食い違うことがあります。

日々の稼働時間は、相手の勤怠ツールとは別に、自分でも記録しておくと根拠になります。

「検収が終わらない」と支払いを延ばされる

請負で成果物を納める案件では、「検収が終わっていないから払えない」と支払いを先延ばしにされることがあります。

発注側が従業員を雇っている事業者などで、新法の支払期日のルールが適用される取引なら、支払期日は原則として成果物を受け取った日から数えるので、検収が終わらないことだけを理由に、受け取りから60日を超えて支払いを延ばすことは原則できません。

細かい修正を繰り返し求められて検収が終わらない場合は、修正依頼と対応の記録を残し、どこまでが契約の範囲かを相手と確認しましょう。

請負と準委任の違いは、フリーランスと業務委託は何が違う?契約・税金・新法までやさしく解説で整理しています。

相手が倒産した・連絡が取れない

相手の会社が倒産した場合、残った財産を債権者で分け合うことになるため、全額の回収は難しいのが現実です。

破産の手続きが始まったら、裁判所や破産管財人からの案内に従って、未払いの報酬を債権として届け出ます。

連絡が取れないだけで会社が続いているなら、登記上の住所あてに内容証明を送ったり、支払督促や少額訴訟に進んだりできます。

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ここがポイント

  • エージェント経由なら、請求先はエージェント(現場の企業の入金遅れは理由にならない)
  • 準委任は稼働時間を自分でも記録し、精算の根拠にする
  • 新法の支払期日のルールが適用される取引なら、支払期日は原則として検収完了日ではなく受け取った日から数える

自分で対応するのが難しいときの相談先

相手が強硬だったり、金額が大きかったりして、自分だけでの対応に不安があるときは、早めに専門の窓口を頼ります。

フリーランスの報酬トラブルには、無料で使える公的な窓口が用意されています。

フリーランス・トラブル110番(無料・匿名可)

厚生労働省の委託で第二東京弁護士会が運営している、フリーランス向けの相談窓口です。

弁護士に無料で相談でき、名前を伏せた匿名での相談もできます。

ただし、メールで申し込むときも、電話番号とメールアドレスは必要です。

電話かメールで申し込み、必要に応じてWeb(ビデオ通話)でも相談できます。

窓口に直接訪ねても対応してもらえないので、まず電話かメールで連絡しましょう。

前に紹介した和解あっせんも、110番を通して申し込めば手続きの費用はかかりません。

ただし、担当の弁護士があなたの代理人になって、相手と交渉してくれるわけではありません。

受付時間や申し込み方法は、フリーランス・トラブル110番の公式サイトで確認してください。

公正取引委員会・中小企業庁への申出

支払期日を守らない、報酬を勝手に減らすといった行為がフリーランス新法に違反する場合は、公正取引委員会や中小企業庁に申し出ることができます。

申出を受けた行政は、必要に応じて調査し、発注側に指導や勧告を行います。

行政が代わりに報酬を取り立ててくれるわけではありませんが、行政の指導を受けたくない企業なら、対応が変わることもあります。

申出は公正取引委員会の申出窓口から行えます。

自分の取引が新法の対象かどうか迷ったら、先に110番で相談すれば、適切な窓口を案内してもらえます。

弁護士・法テラス

金額が大きい場合や、相手が支払いを拒んで争ってくる場合は、弁護士に依頼して交渉や裁判を任せる方法もあります。

収入や資産が一定以下なら、法テラス(日本司法支援センター)で無料の法律相談を受けられることがあります。

弁護士費用が回収できる金額を上回らないか、最初の相談で見通しを聞いておきましょう。

簡易裁判所の窓口

支払督促や少額訴訟を自分で申し立てるときは、簡易裁判所の窓口で手続きの説明を受けられます。

申立書の書式は裁判所のウェブサイトにも用意されているので、窓口に行く前に目を通しておくとスムーズです。

報酬未払いでつまずきやすいポイント

最後に、未払いへの対応で多くの人が迷いやすい点を取り上げます。

少額だと泣き寝入りするしかないのか

金額が小さいと、手間を考えて請求をあきらめてしまいがちです。

ただ、少額の未払いこそ、支払督促や少額訴訟といった簡単な手続きが向いています。

これらは本人でも申し立てやすく、もともと少額の請求を想定してつくられた仕組みだからです。

また、こちらが簡単には引き下がらない姿勢を見せること自体が、次の未払いを防ぐことにもつながります。

内容証明を送ると関係が壊れてしまうのか

内容証明は強い手段に見えるため、送ることをためらう人もいます。

たしかに印象は固くなりますが、そこに至るまで何度も督促しても支払われていないのなら、すでに対等な取引関係とは言いにくい状態です。

正当な報酬を求めることは、決して失礼なことではありません。

そもそも未払いを繰り返す相手と、無理に関係を続ける必要があるのかも、あわせて考えてみるとよいでしょう。

単価や契約の見直しについては、フリーランスが安売りしない単価の決め方と交渉のコツも参考になります。

未払いのまま次の仕事を続けてよいのか

継続案件で前の月の報酬が未払いのまま、今月の作業を続けてよいのか迷うことがあります。

未払いが続く相手のもとで働き続けると、回収できない金額が積み上がっていきます。

支払いが確認できるまで次の作業に入らないと伝えるのも、一つの方法です。

ただし、契約の内容によっては作業を止めること自体の責任を問われることもあるため、止める前に契約書を確認し、迷ったら相談窓口に聞いてみましょう。

取引先を複数持って1社に頼りすぎない状態をつくることも、未払いへの備えになるので、フリーランスの案件獲得方法!単発案件から抜け出す継続案件の取り方もあわせて読んでみてください。

振込額が請求額より少ないのは未払いなのか

入金額が請求額より少ないとき、まず考えられるのが源泉徴収です。

国内に住む個人のフリーランス(居住者)に支払う原稿料やデザイン料など、対象になる報酬では、支払う側が所得税と復興特別所得税を差し引いて国に納める決まりがあります。

差し引かれる額は、源泉徴収の対象になる金額が100万円以下なら10.21%です。

請求書で報酬と消費税を分けて書いていれば、報酬の額だけをもとに計算できます。

差し引かれた分は確定申告で精算されるので、未払いではありません(フリーランスの青色申告・確定申告|1年目のやり方と白色との違い)。

一方、振込手数料を差し引かれていた場合は、扱いが違います。

発注側が従業員を雇っている事業者などで、1か月以上続く業務委託なら、2026年1月以降に頼まれた仕事では、フリーランス側に落ち度のない通常の振込手数料を、合意があっても報酬から差し引くことは減額として禁止されています。

それ以外の理由で金額が合わないときは、まず相手に内訳を確認しましょう。

まとめ

報酬の未払いは、フリーランスにとって避けたいトラブルですが、打てる手は段階的に用意されています。

まず支払期日と金額を確認し、やわらかい督促から始めて、反応がなければ内容証明、それでもだめなら和解あっせんや支払督促・少額訴訟へと進めていきます。

契約書のない口約束でも、報酬や業務内容の合意と仕事をした事実をメールやチャット、納品データなどで示せれば、報酬を請求できる可能性があります。

報酬の請求権は原則5年で時効になり、内容証明で延びるのは6か月だけなので、迷っても早めに動きましょう。

一人で抱え込まず、フリーランス・トラブル110番のような無料の窓口も、早めに頼ってください。

発注側の義務や、新法で守られることは、フリーランス新法とは|7つの義務・禁止行為・罰則をわかりやすく解説もあわせて確認してみてください。