フリーランスになって初めての確定申告は、何から手をつければいいのか分からず不安になりますよね。
この記事では、確定申告の仕組みから届出の流れ、準備すべきことまで、1年目の方が押さえておきたい基礎知識をまとめています。
フリーランスに確定申告が必要な理由
フリーランスとして収入を得たら、原則として毎年確定申告が必要になります。
これは会社員とは異なり、税金の計算や納付を自分で行う必要があるためです。
まずは確定申告の基本的な仕組みを理解しておきましょう。
会社員との違い
会社員の場合、毎月の給料から所得税が天引きされ、年末調整で過不足が精算されます。
会社が税金の計算や納付を代わりにやってくれているのです。
一方、フリーランスはクライアントから受け取る報酬が収入となり、そこから経費を差し引いた金額が所得になります。
この所得に対してかかる税金を自分で計算して納めるのが確定申告です。
年の途中で会社を辞めてフリーランスになった場合は、給与所得と事業所得の両方を申告するため、前の会社からもらう源泉徴収票は大切に保管しておきましょう。
確定申告しないとどうなるか
確定申告をしないままでいると、ペナルティが発生する可能性があります。
代表的なのは、期限内に申告しなかった場合にかかる「無申告加算税」と、納付が遅れた日数に応じてかかる「延滞税」です。
さらに、確定申告をしていないと収入を証明する書類がないため、賃貸契約やローンの審査で困ることがあります。
収入証明が必要な場面は意外と多いので、申告はきちんと行いましょう。
ここに注意
- 期限内に申告できないと「無申告加算税(税額の15〜30%が段階的)」と「延滞税(年7.3〜14.6%相当)」が発生
- 税務調査の通知前に自主申告すれば、無申告加算税は5%まで軽減できる
- 故意の隠蔽・仮装と判断されると重加算税(無申告の場合は最大40%)に跳ね上がる
- 個人事業主は期限後申告でも青色申告承認の取消しは原則ないが、その年の青色申告特別控除が65万円→10万円に大幅減額される
確定申告が不要なケース
フリーランスでも確定申告が不要な場合があります。
それは1年間の所得が基礎控除額以下のケースです。
2025年分からは合計所得金額が132万円以下の場合、基礎控除額が最大95万円になります。
会社員をしながら副業でフリーランス収入を得ている場合は、副業所得が20万円を超えると確定申告が必要です。
ただし所得が少なくても申告しておくことで、源泉徴収された税金が還付される場合があるので、迷ったら申告しておくのがおすすめです。
白色申告と青色申告の違い
確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。
どちらを選ぶかで、手続きの手間や節税効果が大きく変わってきます。
それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選びましょう。
白色申告の特徴
白色申告は、事前の届出が不要で手続きがシンプルなのが特徴です。
帳簿のつけ方も簡易的な方法が認められており、初めて確定申告をする人でも取り組みやすいです。
ただし、白色申告には特別控除がありません。
適用されるのは誰にでも認められる基礎控除のみで、同じ所得でも青色申告に比べて納める税金が多くなる傾向があります。
「今年は準備が間に合わなかった」「まだ売上が少ない」という場合には、まず白色申告で始めて、翌年から青色申告に切り替えるという選択肢もあります。
青色申告の特徴とメリット
青色申告の最大のメリットは、特別控除を受けられることです。
e-Taxで申告するなど一定の条件を満たせば、最大65万円の控除が適用され、節税効果が大きくなります。
また、事業で赤字が出た場合に、その損失を翌年以降3年間繰り越せるのも青色申告ならではのメリットです。
フリーランス1年目は初期投資で赤字になることもあるので、この制度を使えば将来の税負担を軽くできます。
1年目はどちらを選ぶべきか
結論から言うと、フリーランスを本格的に続けていくなら青色申告がおすすめです。
65万円の控除は、所得税と住民税を合わせると年間10万円以上の節税になることもあります。
ただし、青色申告をするには開業届と青色申告承認申請書を期限内に提出しておく必要があり、届出を出していない場合はその年は白色申告になります。
会計ソフトを使えば複式簿記も難しくないので、長い目で見れば青色申告のほうがメリットは大きいです。
ここがポイント
- 白色申告:届出不要・帳簿が簡易・特別控除なし。1年目に「とりあえず」始めやすい
- 青色申告:届出必須・複式簿記・最大65万円の特別控除+赤字3年繰越が使える
- 迷ったら青色。会計ソフトを使えば複式簿記の壁は実質的にない
確定申告のスケジュールと届出
確定申告には決まった期間があり、届出にも期限があります。
うっかり期限を過ぎてしまうと、青色申告ができなくなったり、ペナルティが発生したりすることも。
スケジュールをしっかり把握しておきましょう。
確定申告の期間(いつからいつまで)
確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までが原則です。
この期間内に、前年1月1日から12月31日までの所得を申告します。
土日と重なる場合は翌営業日まで延長されることもあるので、国税庁のホームページで毎年確認しておくと安心です。
申告期限ギリギリになると税務署が混み合うので、余裕を持って2月中には準備を終えておくのが理想です。
開業届と青色申告承認申請書
フリーランスとして活動を始めたら、「個人事業の開業・廃業等届出書」(通称:開業届)を税務署に提出します。
提出期限は事業を開始した日から1ヶ月以内です。
青色申告をしたい場合は「所得税の青色申告承認申請書」も必要で、その年の3月15日まで、または開業日から2ヶ月以内のどちらか遅い方が提出期限になります。
どちらの届出も税務署に直接持参するか郵送で提出でき、e-Taxを使えばオンラインでも提出できます。
届出自体は無料で、特に審査もありません。
届出を出していない場合の対処法
「開業届を出していなかった」「青色申告承認申請書を出し忘れた」という場合でも、慌てる必要はありません。
開業届を出していなくても確定申告自体はできます。
ただし届出を出しておけば、屋号での銀行口座開設や各種証明がスムーズになるので、遅れてでも提出しておくことをおすすめします。
青色申告承認申請書を出していない場合、その年は白色申告になり、翌年から青色申告したいなら翌年3月15日までに申請書を提出すれば翌々年の申告から青色申告が可能です。
ここに注意
- 青色申告承認申請書の期限を過ぎると、その年は強制的に白色申告(最大65万円控除を逃す)
- 提出期限:開業日から2ヶ月以内、または青色申告したい年の3月15日のいずれか遅い方
- 開業届は事業開始から1ヶ月以内が原則。遅れても罰則はないが、屋号口座開設などで支障が出る
- 期限はカレンダーやリマインダーに必ず登録しておく
確定申告前に準備しておくこと
確定申告の時期になってから慌てないよう、日頃から準備しておくことが大切です。
必要な書類を把握し、経費の記録をつける習慣をつけておきましょう。
必要な書類一覧
確定申告で使う主な書類は次のとおりです。
- マイナンバーカード(または通知カード+身分証明書)
- 売上がわかる資料(請求書の控え、通帳の記録など)
- 経費の領収書やレシート
- 各種控除の証明書(生命保険料、国民年金、iDeCoなど)
- 源泉徴収票(年の途中で退職した場合)
特に控除関係の証明書は、秋から冬にかけて届くことが多いです。
届いたら確定申告用の封筒やフォルダにまとめておくと、申告時に探す手間が省けます。
マイナポータルと連携すれば一部の証明書は自動取得できるので、e-Taxユーザーは設定しておくと便利です。
経費の記録と領収書の管理
フリーランスは、事業に関係する支出を経費として計上できます。
経費が多いほど所得が減り、結果として税金も安くなります。
経費になるものの例としては、仕事用のパソコンやソフトウェア、取引先との打ち合わせにかかった交通費や飲食代、仕事に必要な書籍や資料などがあります。
領収書やレシートはこまめに保管し、何に使ったかをメモしておくと後から困りません。
クレジットカードの明細だけでは内容がわからないこともあるので、レシートは捨てずに取っておく習慣をつけましょう。
会計ソフトを使うメリット
確定申告の準備には、会計ソフトを使うのがおすすめです。
銀行口座やクレジットカードと連携すれば、取引データを自動で取り込んでくれます。
画面の指示に従って入力するだけで青色申告に必要な帳簿が作れるので、複式簿記の知識がなくても大丈夫です。
freee、マネーフォワード、弥生など、無料プランや体験期間があるサービスも多いので、自分に合ったものを探してみてください。
ここがポイント
- 申告に必要な書類は秋から冬にかけて少しずつ揃う。届いた順に1か所にまとめる
- 領収書は「いつ・何のために・誰と」をメモして保管。後から判断できなくなる失敗が一番多い
- 会計ソフト(freee/マネーフォワード/弥生)の活用は1年目こそ効果大。複式簿記の壁を取り除ける
フリーランス1年目が注意すべきポイント
初めての確定申告では、うっかりミスをしてしまいがちです。
よくある失敗を知っておけば、同じ間違いを避けられます。
困ったときの相談先も確認しておきましょう。
よくある失敗と対策
1年目に多い失敗の一つが、経費の計上漏れです。
「これは経費にならないだろう」と自己判断で除外してしまい、本来計上できるものを見逃してしまうケースがあります。
迷ったら記録だけは残しておき、後から判断するのが安全です。
もう一つ多いのが、売上の計上時期を間違えるミスで、売上は入金された月ではなく仕事をした月や請求書を発行した月で計上するのが原則です。
12月に納品した仕事は、入金が1月でもその年の売上として処理する必要があるので注意しましょう。
分からないときの相談先
確定申告で分からないことがあれば、税務署に相談できます。
申告時期には無料の相談会を開催していることも多く、予約制で具体的な書類を見ながら教えてもらえます。
売上が増えてきたら、税理士への依頼を検討してもよいでしょう。
費用はかかりますが、申告書類の作成から提出まで任せられるので安心です。
会計ソフトのチャットサポートや、税理士相談付きのプランを使うのも有効な選択肢です。
来年に向けてやっておくこと
1年目の確定申告を終えたら、来年に向けて改善点を振り返ることもおすすめです。
「この経費を計上し忘れた」「書類の整理が大変だった」など、気づいたことをメモしておくと次回に活かせます。
日頃から帳簿をつける習慣をつけておくと、申告時期の負担がぐっと軽くなります。
月に1回や週に1回など自分のペースで経理作業の時間を確保しておくと、年末にまとめて処理する地獄を避けられます。
青色申告承認申請書をまだ出していないなら、翌年の3月15日までに提出して次回から青色申告のメリットを受けられるようにしておきましょう。
まとめ
フリーランス1年目の確定申告は、分からないことが多くて不安になるものです。
しかし、基本的な仕組みを理解して必要な届出や書類を準備しておけば、それほど難しいものではありません。
今年の確定申告を乗り越えれば、来年以降はもっとスムーズに進められるようになります。
まずは期限を守って申告することを目標に、できるところから準備を進めていきましょう。